
私は自由民主党神奈川県議会議員団を代表し、通告に従い、順次質問いたします。
質問に入る前に、一言申し上げます。
今、世界中は新型コロナウイルスパンデミックの真っただ中にあります。
全ての国々がこの闘いを強いられています。
ようやくワクチンを接種できる段階に入ってきましたが、いまだ予断を許しません。
このパンデミックが収束した後の世界は、新しい常識が世界を支配していくかもしれません。
リモートワークの日常化に伴うIoT社会の加速度的発展、日本では、デジタル庁が積極的に後押しをするでしょう。
また、感染症に対応する新しい公衆衛生の考え方に基づくまちづくりをはじめ、様々な変化が出てくることは容易に想像できます。
政治の大事なことは、国民に不安を与えることではなく、変化の先にあるのは、今よりも輝かしい未来なのだと希望を持っていただくことであります。
このパンデミックの早期収束を祈念しつつ、質問に入ります。
1県政課題に対する知事の基本姿勢について
質問の第1は、県政課題に対する知事の基本姿勢についてであります。
新型コロナウイルス感染症については、国内初の感染者が県内で発見されてから1年余りが経過いたしました。
感染状況は、秋以降、再び増加傾向となり、1月には2回目の緊急事態宣言が発出され、今月の2日には宣言の延長が決定されました。
この間、本県の医療提供体制は逼迫し、通常医療にも影響が及ぶほど危機的な状況が続き、不要不急の外出自粛や、飲食店等に時短営業が要請されるなど、県民の方々にとって、不安で苦しい日々が続いております。
我が会派としては、この難局を乗り越えていくためには、神奈川が総力を挙げて取り組んでいかなければならないと考えており、そのためには、知事のリーダーシップがいかに発揮されるかが鍵を握っていると考えております。
様々な課題を解決し、新型コロナウイルス感染症を収束させ、安全で安心した県民生活を一日も早く取り戻せるよう、限られた予算や人員を、コロナ対策にどう投入していくか、実効性のある取組や体制を、本県の姿勢として県民に示していくことが、今求められていると考えます。
そこで、コロナ禍を乗り越えていくため、県政のかじ取りをどうしていくのか、コロナ禍を見据えた本県の体制について、伺ってまいります。
まず、県税収入の見込みと当初予算編成の考え方についてであります。
我が会派としては、これまでも、代表質問など様々な場面において、不急の事業の見直しなどにより、しっかりと必要な財源を確保した上で、新型コロナウイルス感染症への対応に注力することを、当局に求めてきました。
今回、コロナ禍における令和3年度当初予算編成は、昨年9月の時点で、県税収入が大幅な減収になることなどから、1,100億円もの財源不足が見込まれるなど、まさに危機的な状況からスタートしたものでありました。
その後、事業見直しの徹底や地方交付税の増額確保といった取組だけでは、財源不足は解消できず、減収補填債や猶予特例債などの県債を発行するとともに、財政調整基金を取り崩すことで、ようやく収支を均衡させる、非常に厳しい予算編成であったと承知しております。
しかし、こうした危機的な財政状況にあっても、新型コロナウイルス感染症への対応や、自然災害への対応など、県民生活に直結する事業については、着実に推進していくことが大変重要であると考えています。
そこで、知事に伺います。
令和3年度の県税収入について、新型コロナウイルス感染症の影響から、税交付金等を含めた実質ベースでは、前年度を1,100億円下回る見通しとなっていますが、どのように見込んだのか、伺います。
また、こうした大幅な県税収入の減収の中、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症への対応など、令和3年度当初予算をどのような考え方で編成したのか、併せて見解を伺います。
次に、コロナ禍を乗り越えるための県庁組織の見直しについてであります。
県はこれまでも、コロナ禍を乗り越えるために、健康医療局に医療危機対策本部室を設置したほか、新型コロナウイルスの感染状況に応じて、コロナ業務の応援職員を増強するなど、コロナ体制の強化を図ってきたと承知しております。
しかし、新型コロナウイルス感染症との闘いは長期に及んでおり、医療提供体制の逼迫は危機的状況にあるとともに、県のコロナ対策本部や保健所の業務も大変厳しい状況が続いています。
我が会派はこれまでも、ヘルスケア・ニューフロンティアやSDGsのイベントなど、不急の事業の見直しを求め、財源確保と同様に、人材や優れた知見をコロナ対策に投入すべきであると主張してまいりました。
そうした中、知事は、昨年秋からの感染急拡大に対応するため、これまで精力的に取り組まれてきたヘルスケア・ニューフロンティアなどの主要政策に携わる職員についても、コロナ対策に投入したと承知しております。
一方で、コロナ対策においては、医療提供体制「神奈川モデル」の構築をはじめ、ICTを活用した感染防止対策取組書や、LINEによるパーソナルサポートなど、全国をリードする取組を進め、また、スマートアンプ法を活用した迅速検出法の実用化や、海岸でのドローンを活用した安全管理なども含め、民間企業、民間人材と連携した取組を展開してきたことも承知しています。
これらは、知事が進めてきた主要政策により、本県で培われた最先端技術やICTの活用、民間との連携といった蓄積が、コロナ対策において、一定の効果を生み出した結果であったと理解しています。
新型コロナウイルス感染症の根本的な治療方法が確立されていない中、感染状況がどのように推移していくのか、あらゆる事態を想定しながら万全の対策を講じていくことが肝要であり、今後も、こうした人材や優れた知見を結集し、感染症から県民の命を守っていくための体制の構築が必要であると考えます。
また、コロナ収束後には、県民の皆様が新しい時代を実感できるような取組を速やかに展開できるように、柔軟で機動的な組織体制についても、併せて検討されていくべきと考えます。
そこで、知事に伺います。
コロナ禍を乗り越えていくとともに、コロナ後を見据えた県庁組織の見直しが必要と考えますが、見解を伺います。
次に、広域行政のあり方について、2点、伺います。
1点目は、特措法に基づく権限の指定都市への移譲についてであります。
先般、改正された特措法や感染症法は、これまで全国で講じられてきた対策の検証を基に、国や県が主導性を発揮しやすくなる方向で、改正されたものと承知しています。
特に、これまで特措法に規定されていた、県全体の総合調整を行う権限が、改正感染症法にも新たに位置づけられ、県の総合調整の役割がより強く、明確になったところであります。
そうした中、本年1月に、全国20の指定都市で構成される指定都市市長会から国に対して、特措法に基づく知事の権限を、希望する指定都市の市長に移譲し、地域の実情に応じて感染症対策を実施できる仕組みを構築するよう、要請がなされたと聞いております。
大都市において、多数の感染者が発生している状況の中、将来も見据えた上で、指定都市が地域の実情に応じて対策が取れるようにしたいとの趣旨は理解します。
しかし、特措法に基づく知事の権限の指定都市への移譲については、今回の改正法で、県の総合調整権が強化された趣旨や、これまで全国知事会などで国全体として連携してきた経緯、さらに、本県のように複数の指定都市を抱えている状況下でも、県民や事業者の方々にとって、混乱なく、不公平感のない対応ができるのかなど、様々な観点から慎重に検討されるべき課題だと考えます。
そこで、知事に伺います。
この1年近くにわたり、県内全域を対象に、特措法に基づく対策を実施してきた県として、指定都市への権限移譲について、どのように考えているのか、見解を伺います。
2点目は、特別自治市についてです。
現在、多くの指定都市は、自らが道府県の事務・権限や税財源等を全て担うという、特別自治市構想の実現を目指しており、指定都市市長会では、プロジェクトチームを設置し、今後、特別自治市の実現に向けた法案を作成して、国・政党に働きかけていくこととしています。
また、横浜市においても、毎年、フォーラムやシンポジウムを開催するなど、市民等に向けた広報を行うとともに、市の研究会の答申を踏まえ、本年3月には横浜特別自治市大綱を改訂し、より具体的な方針を示すこととしています。
ちなみに、この特別自治市構想は、平成25年6月に出された国の第30次地方制度調査会の答申において、制度化が見送られたという経緯があります。
しかし、国や道府県は、こうした中にあっても、指定都市が抱える課題の解決に資するよう、指定都市が求める個別の事務・権限等の移譲について、積極的に取り組んできたところであります。
この特別自治市構想では、区域内の県税・市税を、一括して市が賦課徴収することになりますので、区域内の地方税を特別自治市が独占する場合、広域自治体が提供する行政サービスのための税源確保が困難になることが想定されるといった課題があります。
そもそも基礎自治体の在り方については、まずは、その自治体自らが検討すべきものであることは承知しておりますが、こうした他の県内自治体に影響を及ぼすような課題を含んでいる以上は、関係する自治体や県民との慎重な議論が必要であると考えます。
さらに、税制が関われば、国も巻き込んだ議論も必要となります。
特に、少子・高齢化の急激な進展などにより、人口や税収が減少し、自治体の経営資源が制約を受けていく時代にあっては、県と指定都市が、個別具体の行政課題に対して、いかに協調・連携して取り組むのかといった視点こそ、必要ではないかと考えます。
そこで、知事に伺います。
現在、横浜市をはじめ、多くの指定都市は、特別自治市の実現に向けた取組を積極的に推進していますが、県として、どのように受け止めているのか伺います。
また、こうした動きにどう対応していくのか、併せて見解を伺います。
次に、利用者目線の新しい障がい者支援の実現に向けた取組について伺います。
本県は、ともに生きる社会かながわの実現に向け、これまでも全力で取り組んできました。
津久井やまゆり園事件があった本県だからこそ、どんなに重い障害がある方でも、本人の希望に沿って、その人らしく暮らしていける社会の実現を目指し、取り組んでいくべきと考えます。
こうした中、今年度に設置された障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会において、県立障害者支援施設における利用者目線の支援の在り方が検討されています。 年度末には報告書が取りまとめられると承知しており、今後は、この報告書を踏まえて、障害者支援施設での利用者の意思を尊重した支援が、さらに進むことを期待しています。
折しも、今年は千木良と芹が谷に新しい二つの施設が開所し、そこでの利用者目線の支援の実践が大いに期待されます。とりわけ、津久井やまゆり園で進めている意思決定支援では、利用者を中心とする意識が高まるなど、一定の成果が見られていると伺っています。
こうした意識の高まりは、利用者目線の支援において大事な要素になると考えており、今後は、他の障害者支援施設の利用者など、県内に広く展開していくことが重要と考えます。
一方で、県立障害者支援施設では、建物の老朽化がかなり進んだ施設があるほか、中井やまゆり園や愛名やまゆり園で虐待認定事案が発生したり、入所の長期化により、地域生活移行が進んでいなかったりといった様々な課題を抱えているのが現状であります。
今後は、全ての県立障害者支援施設において、地域や在宅生活につないでいく通過型施設としての役割を積極的に果たしていくために、ソフト・ハードの両面から検討していく必要があると考えます。
そこで、知事に伺います。
県立障害者支援施設の在り方や、意思決定支援の今後の展開等、利用者目線の新しい障害者支援の実現に向けて、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
以上です。
2 コロナ禍における諸課題について
質問の第2は、コロナ禍における諸課題についてであります。
初めに、感染蔓延期における病床の確保について伺います。
新型コロナウイルス感染症の新規発生患者数は、1月中旬をピークに減少しているものの、入院者数は依然として600人前後で推移しています。
一方で、陽性患者を受け入れる即応病床数は、1月末に当面の目標である1,100床を超え、現在は1,000床以上を維持しているものの、病床の逼迫状況は予断を許しません。
また、高度医療機関における人工呼吸器やECMOが必要な重症患者の治療、ケアは、高度な技能を有する人材が必要になるため、病床数が120床程度にとどまっていると伺っており、現在、重症の入院者数は減少しているものの、感染者数が再び増加した場合には、逼迫するおそれがあります。
本県では、神奈川モデルをいち早く提唱し、新型コロナウイルス感染症に備えた医療提供体制を整備し、その後も様々な対策を講じてきましたが、残念ながら、即応病床数は思うようには伸びておりません。
また、新型コロナウイルス感染症の症状が改善し、退院基準を満たしているものの、入院中に体力が低下し、リハビリなどが継続的に必要となる患者の転院をさらに促進していくことが必要であり、我が会派がかねてから提案してきたとおり、医療機関への一定の財政支援も含め、県に新たな取組を求めているところであります。
医療提供体制の逼迫に対する県民の不安を解消していくためには、陽性患者を受け入れる病床のさらなる確保が期待されますが、一方で、神奈川モデル認定医療機関からは、これ以上の病床拡大は困難であるといった悲痛な叫び声が寄せられていることも事実であります。
感染蔓延期と言えるこの時期に至り、高度医療機関や重点医療機関における、そうした状況を踏まえますと、県内の各病院にも、新型コロナウイルス感染症の医療に御協力を頂き、総力戦で闘っていくべきではないかと考えます。
そこで、知事に伺います。
感染蔓延期における病床の確保について、どのように進めていくのか、見解を伺います。
次に、保健所体制の強化について伺います。
新型コロナウイルス感染症の患者数が急増している中、陽性判明者から体調や行動歴などを聞き取る保健所の職員の負担が、限界に近づいていると言われております。
一部の保健所では、感染者数が12月に比べて数倍にまで膨れ上がってしまい、これまでの体制のままでは、保健所の対応が間に合わなくなっていると聞いております。
保健所の体制強化に向けて、県では、年度当初から、派遣会社を通じて看護師を配置したり、非常勤の保健師を配置したりといった取組を進めているほか、積極的疫学調査の重点化にも取り組んでいると承知しています。
この積極的疫学調査は、保健所の保健師などが、陽性患者の行動歴、いつ、どこで、誰と接触したのかを調査して、感染源を探索するとともに、濃厚接触者の特定や、検査を実施し、感染拡大防止を図ることを目的とする調査であります。
新規陽性患者の急増に伴い、県では、この積極的疫学調査の対象を、重症化しやすいハイリスクの方に重点化することとしましたが、一方で、感染拡大防止に不安を残すという声もあると聞きます。
感染蔓延期においては、市中感染が増加し、行動歴の追跡が非常に難しいケースも増えてしまうことを考えますと、より優先度の高い業務を行うための一時的な対応として、やむを得ないものと理解はいたします。
しかし、県として、県民に不安を与えないように、蔓延期であっても保健所の機能が十分に発揮されるよう、しっかりとした体制整備を進めていくことが求められます。
そこで、知事に伺います。
新型コロナウイルス感染症の感染者急増に対応するため、県所管保健所の体制強化に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
次に、自宅・宿泊施設療養者の療養サポートについて伺います。
新型コロナウイルス感染症の自宅療養者は、昨年12月半ばに1,000人を超えたあたりから急激に増加し始め、1月15日には5,088人となるなど、たった1か月で4,000人も増加する事態となりました。
こうした感染爆発が起きた状況の中、1月18日に県感染症対策協議会が開催され、24時間モニタリング可能な自宅療養体制の構築が議論されました。
県内のコロナ感染者の重症者・死亡者は40歳以上に集中していることから、入院待機者などのハイリスク者と40歳以上の方にパルスオキシメーターを貸与して、血液中の酸素飽和度をベースとした健康観察の体制へシフトすることとなりました。
一方で、一部の報道では、自宅療養者の健康観察は、これまで県が確認してきたが、今後は療養者本人に自己管理を求めるとし、40歳未満の人には、パルスオキシメーターの貸出しを止めることとしたと報じられました。
県では、自宅療養者の健康観察について、これまで、LINE等のICTを活用するとともに、LINEを使わない方や、LINEで回答がない方については、職員が電話したり、自宅を訪問したりするなどして、健康観察や安否確認を行っていると承知しており、自宅療養者の急増に伴い、こうした対応を続けていくことが難しい状況となっていることは理解できます。
しかし、療養者が増えたから本人に自己管理を求め、パルスオキシメーターが足りないから39歳以下には貸与しないということでは、県内でも自宅で療養中の方が亡くなる事案が複数起きていることもあり、自宅療養者の不安は計り知れないと考えます。
こうした不安は、宿泊施設の療養者にとっても同様であり、適切な療養サポートがなければ大きな事故につながりかねません。
県は、急増する陽性者に対応するため、搬送先が確定するまでの間、酸素投与による応急処置をする、かながわ緊急酸素投与センターを、私の地元である藤沢市に設置するなど、様々な対応を行っていることは承知しています。
しかし、新型コロナウイルス感染症に感染した方の多くは、自宅や宿泊施設療養となることから、療養者へのサポートは極めて重要であり、療養者が急増した場合であっても、安心して療養できる体制を整備する必要があると考えます。
そこで、知事に伺います。
新型コロナウイルス感染症の自宅・宿泊施設療養者に対して、県はどのように療養をサポートし、県民の命を守る取組につなげていこうとしているのか、見解を伺います。
次に、ワクチン接種に向けた県の取組について伺います。
感染拡大の大きな波を何度も迎えながらも耐え続けてきた県民にとって、今後の感染蔓延防止の鍵として期待されるのがワクチン接種であります。
厚生労働省は、一昨日の14日に、アメリカの製薬大手、ファイザーが申請したワクチンについて、特例承認により、正式に薬事承認しました。
報道によれば、17日にも医療従事者への先行接種が始まるとのことであります。
こうした中、全国の自治体においても、今まさに準備に邁進している状況にあると承知しています。
市町村では、常日頃から予防接種に係る事務を行っていますので、その事務には精通していると思います。
しかし、今回のコロナワクチンについては、一部、年齢制限等を除けば、全国民を対象としており、通常の予防接種事務とは規模も勝手も大きく異なるため、市町村においても、手探りで進めざるを得ないと推察します。
また、全ての市町村において準備が同じように進捗しているとは考えにくく、新型コロナウイルスのワクチン接種を円滑に進めていくためには、広域自治体である県の細やかな調整が必要になると考えます。
さらに、県が担うこととなる医療従事者等への優先接種体制の整備についても、コロナの最前線で闘う医療従事者の感染リスクを抑えるために、確実に進めていかなければなりません。
そこで、知事に伺います。
新型コロナウイルス感染症の脅威から解放され、日常を取り戻す道しるべとなることが期待されているワクチン接種について、県の準備状況はどこまで整っているのか、お伺いします。また、市町村が行う住民接種に対して、どのように調整を行っていくのか、見解を伺います。
次に、コロナ禍における中小企業支援について伺います。
再度の緊急事態宣言により、県内経済は再びの低迷が見込まれ、特に、中小企業は厳しい状況に置かれています。
こうした中、県は、営業時間の短縮要請に御協力いただいた飲食店等に対し、第3弾、第4弾、第5弾の新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金の交付手続を進めており、また、第6弾についても、現在準備を進めているところであります。
特に、協力金第5弾は、1店舗1日当たりの交付額が6万円で、最大で162万円、第6弾も同じく6万円で、最大168万円が交付されることから、多くの申請が見込まれています。
この第5弾は、令和3年1月補正予算として、約543億円を確保したところでありますが、先週、2月補正予算において、積算の考え方を見直し、約316億円が増額されました。
この点、我が会派としましては、積算根拠について、非常に納得がいかないところが本音でありました。大幅な数字の乖離は、県民の信頼を失いかねません。
正しい情報を的確に発信し、時短要請に御協力いただいた事業者全てに遅滞なく交付するとともに、予算額の積算は、信頼性の高い数字となるよう検証いただきたいと考えます。
また、店舗の規模に応じた交付など、協力金の在り方を検証するとともに、年度をまたいだ地方への予算措置や、各都道府県の統一した算定基準について、国にしっかりと要望していただきたいと考えます。
さらに、公平性の観点から、不正受給には毅然とした対応を図っていただきたいと思います。
一方で、飲食店は協力金がもらえますが、飲食店と直接・間接の取引がある、あるいは、外出自粛の影響を受けている飲食店以外の事業者の経営状況も大変厳しい状況にあります。
国では現在、このような中堅・中小事業者に対して、法人は最大60万円、個人事業者等は最大30万円の一時金を支給することを検討していますが、中小企業の事業継続につながる県の支援も重要と考えます。
昨年、国、県、市町村や金融機関による多様な経営・資金繰り支援の結果、東京商工リサーチの調査によりますと、2020年の神奈川県内の企業の倒産件数は、1991年以来の低水準にとどまったとのことであります。
しかし、長引くコロナ禍によって売上げや利益が回復しない企業の資金繰りは限界に達しつつあり、感染症が依然、収束の兆しを見せない中で、今後、倒産に至る企業が続出することが懸念されます。
感染拡大防止と事業活動の継続という難しいかじ取りが求められる中小企業を、どのように支えていくのか、本県の果たす役割がますます重要となります。
そこで、知事に伺います。
コロナ禍における中小企業支援について、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
以上です。
3 県政の諸課題について
質問の第3は、県政の諸課題についてであります。
初めに、相鉄いずみ野線の延伸について伺います。
鉄道をネットワーク化していくことは、利便性が向上することはもとより、災害時における交通網の多重化、いわゆるリダンダンシーが確保されることで、安全で魅力あるまちづくりの実現に大きく寄与するものであります。
現在、県内において、神奈川東部方面線の整備が進められており、相鉄線が都心へ直結することで、交流と連携を促進し、県央・湘南都市圏のさらなる発展が期待されています。
この相鉄線については、私の地元、藤沢市において、湘南台駅からツインシティ方面への延伸計画の検討が、県と関係者により、深められていると承知しています。
この鉄道延伸が計画されている藤沢市の西北部地域では、藤沢市の六つの都市拠点である健康と文化の森地区で、新たなまちづくりが進められています。
これまでに、地区の西側では、中核施設となる慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスが開校し、さらに大規模な病院が開設されるなど、まちづくりが着実に進められています。
一方で、公共交通機関がバスに限られており、最寄りの湘南台駅周辺では、特に朝夕を中心に慢性的な渋滞が発生している状況にあります。鉄道延伸に対する地域の期待は、大変大きなものとなっています。
さらに、地区の東側では、新たに土地区画整理事業が始められようとしており、相鉄いずみ野線延伸の早期実現を求める地域の声は、日に日に大きくなってきています。
相鉄いずみ野線の延伸の実現には、相当の事業費と期間を要すること、さらには、事業採算性の確保や、事業スキームの確立などの課題があることも承知しています。
しかし、鉄道ネットワークの整備は、神奈川の発展を支える上で欠かせない社会基盤であり、地域のまちづくりにも密接に関連することから、県の果たす役割は大きいと考えています。
そこで、知事に伺います。
相鉄いずみ野線の延伸の実現に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
次に、村岡・深沢地区のまちづくりと新駅設置に向けた今後の取組について伺います。
超高齢社会や人口減少社会を乗り越えて、活力ある神奈川をつくるためには、本県の持つ多様な潜在力や、地域らしさを生かしながら、魅力ある都市づくりを進めることが、重要であると考えます。
湘南地域では、藤沢市村岡地区と鎌倉市深沢地区で、新たな拠点となるまちづくりの実現に向けた検討が進められ、平成30年12月には、県、藤沢市、鎌倉市が、両地区の一体的なまちづくりと、東海道線新駅の実現に向けて基本事項に合意し、これまで、県が調整役となり、土地区画整理事業の進め方や、駅前広場、両地区を結ぶシンボルロードなどの具体な検討を行ってきたことは承知しています。
こうした中、2月8日には、県と藤沢市、鎌倉市、そして、JR東日本の4者で、新駅を設置することに合意し、新駅整備に係る費用の一部を、JR東日本が負担することについての覚書が締結されたことは、まちづくりの実現に向けた大きな一歩であり、大いに評価するものであります。
覚書を締結したことで、村岡・深沢地区のまちづくりがいよいよ始まります。今後、事業の実施に向けて、様々な調整や手続もあると思いますが、一日も早い整備に向けて、引き続き、県がリーダーシップを取り、関係者が協力しながら、しっかりと取り組んでいく必要があると考えます。
そこで、知事に伺います。
村岡・深沢地区のまちづくりと新駅の実現に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
次に、本県の水産業の活性化について伺います。
本県の水産業については、最盛期であった昭和60年代初頭と比べると、漁業生産量が6割減少し、漁業従事者も5割以上減少するなど、落ち込みが目立っています。
これに伴い、漁業協同組合の経営も厳しくなり、単独経営が困難な漁協では合併の話も出ていますが、実現に向けた動きは鈍く、経営状況の停滞により、県内水産業が総体的に衰退している印象が否めません。
こうした状況を打開しようと、地域が抱える課題に対して、漁業関係者等が自ら解決策を考え、それを実現するための計画として、浜の活力再生プランを策定し、国の支援を得て、地域の活性化を目指す取組が行われています。
しかし、本県では、複数の漁協が連携し、国の支援を得て進める浜の活力再生広域プランの策定までこぎ着けた地域はまだなく、他県に後れを取っている状況にあります。
そうした中、国は、70年ぶりに漁業法を大幅に改正し、昨年12月に施行しました。
日経新聞の記事によれば、漁業法改正による水産改革のポイントとして、五つ挙げられています。漁師の収入を増やすため、水産資源の管理を強化すること、戦略的な輸出拡大、新たな養殖や風力発電など海を上手に活用すること、漁協制度の見直し、そして漁村の活性化、国境監視機能など多面的機能を発揮することであり、副題で、「若者にも魅力的な産業に」とありました。
この漁業法改正を踏まえ、本県でも、若者が水産業に魅力を感じ、県内に就業できるよう、県が水産資源を適切に管理するとともに、浜の活力再生広域プランの策定を積極的に支援し、生産性の向上による漁業所得の増大に結びつけていく必要があります。
その際、現在の県水産課においても、新法にうたわれている発展、向上、活性化という業務をつかさどる政策立案機能等を強化し、ニーズに即応した施策を総合的に展開する組織にすることができれば、新たな資源管理システムの構築や養殖等の展開、生産性の向上など、県のバックアップ体制の強化が期待できると考えます。
漁業法が改正された今、この機を捉えて、地域の漁業関係者等と県が連携して、本県の水産業を活性化していくことが何より重要であると考えます。
そこで、知事に伺います。
漁業生産量の減少が続く中、漁業法改正の趣旨を踏まえて、県として、今後どのように水産業の活性化を図っていくのか、また、その際の組織については、どのように考えているのか、併せて見解を伺います。
次に、少人数学級の拡充について伺います。
昨年の緊急事態宣言時に、公立学校は臨時休業を余儀なくされ、こうした状況においても、児童・生徒の安全・安心の確保と、学びを保障する指導体制を整備することが喫緊の課題であると考え、県議会は、昨年10月に少人数学級のさらなる拡充を求める意見書を提出したところであります。
国においては、令和3年度予算編成の過程で、少人数による、きめ細かな指導体制を構築するため、いわゆる義務標準法を改正し、小学校の学級編制の標準を、令和7年度までの5年をかけて、35人に引き下げることとされました。
少人数学級の拡充により、教室内での子供たちの身体的距離を確保することに加え、1人の教員が受け持つ児童の数が減ることを通じて、子供たち一人一人に、きめ細かく目を行き届かせることができるようになると考えられ、教育面でのプラス効果も期待されるところであります。
しかし、こうした少人数学級の実施に伴い、今後、それを実現するために必要となる教員の確保や育成、また、都市部の学校における学級数の増加に伴う、校舎の増改築による自治体の財政負担の増加など、課題が出てくるのではないかと危惧しています。
また、子供たち一人一人に最適な学びを提供するためには、学級規模の縮小に加えて、従来から実施されているティーム・ティーチングや習熟度別指導など、様々な指導方法を用いるべきであり、少人数学級の実施と並んで、これらの対応のための教員の確保も課題であると考えています。
そこで、教育長にお伺いいたします。
少人数学級の拡充による効果について、どう考えているのか、また、今後こうした課題への対応について、どのように考えているのか、見解を伺います。
以上です。
4 県民の安全・安心を守る取組について
質問の第4は、県民の安全・安心を守る取組についてであります。
初めに、災害対策に向けた取組について、2点、伺います。
1点目は、防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策を活用した水防災戦略の推進についてであります。
国内では、毎年のように豪雨による大規模な水害が発生しており、国土強靭化対策には、今後も継続して重点的に取り組んでいく必要があります。
こうした中、政府は、国土強靭化の取組を継続し、より充実した対策を求める全国の地方自治体や議会などの要望を受け、防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策の取組をさらに加速化、深化させるため、令和2年12月11日に、新たな5か年加速化対策を閣議決定したと承知しております。
この5か年加速化対策では、大規模な豪雨水害や地震への備え、老朽化するインフラの予防保全、取組の効率化に向けたデジタル化の推進を柱として、令和7年度までの5年間で、事業規模をおおむね15兆円程度をめどとして、各分野について重点的・集中的に様々な対策を講ずることとしています。
3か年緊急対策が7兆円規模であることから、単純に比較して、単年度で約1.3倍の増となり、本県においても、これを活用することにより、水害等への対応力強化を図る水防災戦略の取組が、より一層促進されることが期待されます。
そこで、知事に伺います。
県においては、この5か年加速化対策を活用して、今後、河川事業などの水防災戦略の推進にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
2点目は、複合災害対策についてです。
今月13日に、福島県沖で震度6強の地震が発生しました。県内では、地滑りや家屋の倒壊などの直接的な被害はなかったものの、負傷された方がいらっしゃったと伺っております。
風水害と異なり、こうして突然に襲ってくる地震の恐ろしさを痛感させられたとともに、その対策は、日頃からの備えが何よりも大切であると、改めて感じた次第であります。
新型コロナウイルス感染症が収束する気配が見られない中、新型コロナウイルス感染症と自然災害との複合災害への対策として、避難所における感染防止対策や、さらなる避難スペースの確保等が全国的に課題となっています。
県内の市町村では、コロナ禍を意識した避難所設置訓練を独自に実施したり、地元企業と連携して、車中避難に備えた協定を締結したりするなど、地域の実情に応じた取組も見られるようになりました。
新型コロナウイルス感染症が収束しない限り、今後、地震や風水害などの自然災害が起きるたびに、常に新型コロナウイルス感染症との複合災害となることを考えますと、県として、最前線で災害対策に取り組む市町村に対して、さらに支援を強化していくべきと考えます。
あわせて、災害時に、住民が新型コロナウイルスの感染を恐れて避難をためらうような事態が生じないよう、AIを活用した避難支援など、デジタル技術の導入も積極的に進めていくべきと考えます。
そこで、知事に伺います。
新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、いつ起こるとも分からない自然災害と感染症との複合災害に対し、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
次に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組についてであります。
まず、1点目として、東京2020大会に向けた新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
大会に向けては、様々な報道がなされていますが、菅総理は、今国会の施政方針演説において、感染対策を万全なものとし、世界中に希望と勇気をお届けできる大会を実現するとの決意の下、準備を進めていくと話されました。
そして、国は昨年、東京オリンピック・パラリンピック競技大会における新型コロナウイルス感染症対策調整会議を設置し、開催都市である東京都や組織委員会とともに、必要な対策について検討を進め、昨年12月には、議論の中間整理として、アスリート、大会関係者、観客の三つのカテゴリーについて、我が国への入国から出国に至るまで、場面ごとの感染症対策が公表されたところであります。
中でも、大会の主役であるアスリートには、細心の感染対策が求められますが、アスリートは、到着した空港を出てから、組織委員会の管理下にある選手村に入村するまでの間は、全国の事前キャンプ地に滞在するケースが多く、本県にも、16か国ものアスリートが県内各地に滞在する予定になっていると聞いています。
その感染対策は、事前キャンプを迎え入れる県や市町村が担うことになっており、そのために必要となる経費については、今般成立した国の第3次補正予算で措置され、今定例会にも、その交付金を原資とした感染対策のための予算案や、基金条例案が提案されているところであります。
大会の開催に向けては、新型コロナウイルス感染症の収束に向けた努力を続けていくことはもちろんですが、万全な感染対策を講じることにより、いかに安全で安心な運営が行えるかが何よりも重要となっていきます。
そこで、知事に伺います。
東京2020大会に向けて、新型コロナウイルス対策に、県として、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
2点目は、東京2020大会における県警察の取組についてです。
オリンピック警備に当たっては、長期にわたる競技日程に加え、同日に複数競技が開催されること、真夏の酷暑の中での警備になることや感染症対策を講じながらの警備となることなど、県警察にとっては、今まで経験したことがない極めて困難なものであると聞いております。
そのような中、県警察においては、オリンピック・パラリンピックに伴う総合対策の強化を重点目標に掲げ、テロ対策をはじめとする諸対策に取り組んでいると承知しております。
オリンピックは国際的に大きな注目が集まることなどから、過去の大会においては、テロやサイバー攻撃が発生しており、東京大会においても、その脅威に備えた十分な対策が必要であると認識しております。
さらに、コロナ禍での大会開催という状況において、警察職員が万全の状態で活動できる体制を維持するためにも、警察職員に十分な感染症対策を講じさせることも極めて重要であると考えます。
そこで、警察本部長に伺います。
県警察では、オリンピック・パラリンピック警備に向けて、テロやサイバー攻撃対策、職員へのコロナ対策をどのように講じていくのか、見解を伺います。
以上です。